世の中に勉強法といわれるものは数多くあります。
しかし、本当に効果があるのか疑問に思ったことはありませんか?
実際に本屋に並んでいる勉強法には、科学の世界で「効果があまりないと実証された方法」や「効果が実証されていない方法」をよく見かけます。
そんな効果がない、もしくは効果がわからない方法で頑張りつづけるのは時間を無駄にしていて、その時間でできたことを思うと大きな機会損失だと思うのです。
どうせ頑張るなら、より効率的で効果的な方法で勉強したいですよね。
今回は、様々な勉強法の効果を比較してその効果と汎用性を調べてくれた素晴らしい論文を見つけたので紹介します。
ぜひ、今日から効率的な勉強法を覚えてこれからの人生を変えてください。
最も効果的な勉強法
2013年のレビュー論文では、10種類の勉強法に関するエビデンスをまとめて効果と汎用性を評価しました。 その結果、
- 模試(Practice testing)は効果大
- 分散学習(Distributed practice)は効果大
- 自己質問(Elaborative interrogation)は効果中
- 自己説明(Self-explanation)は効果中
- 挟み込み学習(Interleaved practice)は効果中
- 要約(Summarization)は効果小
- ハイライト(Highlighting)は効果小
- 語呂合わせ(Keyword mnemonic)は効果小
- イメージ化(Imagery use for text learning)は効果小
- 再読(Rereading)は効果小
という結論が出た。1
解説
模試・分散学習(効果大)
模試は、練習問題を解いたり模試を受けてみたりする勉強法です。
これは割とやっている人が多いのではないでしょうか?
勉強しただけでは、自分がどれほど内容を理解しているのかわかりません。
その点、模試や練習問題は自分がどこを理解していないのか理解することできるのでオススメです。
分散学習は、勉強した後に1日から1ヶ月ほど時間を置いて忘れた頃に復習する勉強法です。
覚えておきたい期間の10~20%ほど時間を置くのが目安にするといいらしいです。
例えば、4ヶ月後に試験があるのでそれまで覚えておきたいなら2~3週間ほどの間隔で復習するのが目安になります。
そして、この2つの方法(模試・分散学習)が今回紹介する10の勉強法の中で、最も効果が高いです。
勉強した後、時間を置いて問題を解くのはとても効果が高いということですね。
実際に、海外ではすでに「スマート教科書」という電子教科書を出版社が試験的に出しています。章ごとにオンラインテストがあり、時間が経つと忘れていそうな問題を出してくれます。僕も使ってみましたが、記憶がより定着している気がします。
自分でやる際は、時間管理が面倒なので少し工夫がいるかもしれません。
幸いにも、メンタリストのDaiGoさんが監修している分散学習用のアプリがあります。
問題を入力すると、忘れた頃に復習として出題してくれます。
問題を自分で作る手間はかかりますが、それも記憶の定着を助けてくれるでしょう。
ぜひ試してみてください。
自己質問・自己説明(効果:中)
自己質問は、勉強している時に「なぜ?」「どうして?」と自分へ質問する勉強法です。
例えば、「なぜBではなく、Aが正しいのだろう?」と自分に問いかけたりします。
自己説明は、勉強している時にステップや理由を説明する勉強法です。
例えば、「もしAならB」と理屈を組み立てたり、「Aの後にB」とステップを説明したりします。
この2つの方法(自己質問・自己説明)を組み合わせると非常に効果的です。
例えば、「なぜAなの?なぜなら〜」と自分に質問し、自分で説明することでより理解が深まります。
実践する方法として、「教科書に書いてあることを批判的に見る」のもありではないかと思います。「なぜこの情報は正しいのか?」と考え、周辺情報を集めて自分なりに理屈をつけることで、ただの情報が生きた知識になります。
個人的にはWikipediaを見るのがオススメです。関連するページにも全て丁寧にリンクが貼られているので、「知識の網」をはりめぐらせることができます。余裕があれば、参考文献をチェックするのもありでしょう。
挟み込み学習(効果:中)
挟み込み学習は、同じ分野や教科をまとめて勉強するのではなく交互に違う分野や教科を勉強する方法です。
あまり聞きなれないかもしれませんが、授業を1時間ごとに区切って違う教科を教えるのはこれに該当するかもしれません。
理屈としては、同じ教科の場合は勉強したことを短期記憶に保存したまま次の問題に行くことができるけど、違う教科の場合は短期記憶を一度空っぽにするために情報が長期記憶にコピーされて記憶に残ると言われています。
実際にやる際は、「1時間勉強したら別の教科」や「違う教科の単語帳を混ぜて勉強」などの方法があります。
1時間で切り替える場合は、集中するとついつい時間を忘れがちになるのでタイマーを使ったほうがいいかもしれません。
要約・ハイライト・再読(効果:小)
要約は、教科書などに書かれている内容を簡潔にまとめる方法です。
ハイライトは、教科書に蛍光ペンで線を引いたりすることですね。
再読は、教科書などを読み直す勉強法ですね。
これらは、教科書の内容をより理解するためによく使われる方法ですが、今回紹介する勉強法の中では、汎用性や効果が低いようです。
要約は使える状況が限られており、ハイライトと再読は効果が小さいようです。
語呂合わせ・イメージ化(効果:小)
語呂合わせは、短い単語と情報を結びつけて覚える方法ですね。
イメージ化は文字の情報をイメージに変換して覚える方法ですね。
両方とも記憶術として有名な方法ですが、どちらも今回紹介する方法の中では汎用性や効果が低いようです。
イメージ化は使える状況が限られていており、また十分な研究がされていないため効果がまだわからないそうです。
語呂合わせに関しては、簡単なものにしか使えないのと記憶の持続時間が短いのが難点。
結論:時間を置いて問題を解くのが一番効果的
まとめると、10種類の勉強法の中では、模試と分散学習が最も効果があります。
勉強した後、時間を置いて問題を解くのは最も効果が高いということですね。
次点で効果的なのが、自己質問、自己説明、挟み込み学習です。
自分に質問して自分で説明したり、複数の教科を組み合わせて勉強するのは効果が高いです。
効果・汎用性ともに高い、上記の5つの方法を実践するのをオススメします。
うまく取り入れて役立ててみてください。
- Dunlosky, John et al. “Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology.” Psychological science in the public interest : a journal of the American Psychological Society vol. 14,1 (2013): 4-58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266↩